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井伊家伝来 狂言の面と装束

開催期間:平成28年/2016年9月2日(金)~9月27日(火)

能の兄弟とも言われる芸能・狂言は、日本を代表する伝統芸能の一つです。そもそも狂言は、能と同じく、平安時代から鎌倉時代に行われた、滑稽(こっけい)な物まね芸である猿楽(さるがく)を源として生まれました。猿楽の特徴である滑稽芸を洗練させ、おかしみのある台詞と身ぶりによって、中世庶民の日常の中の笑いを巧みに表現した芸能、それが狂言です。南北朝時代には、すでに独立した芸能として成立していたことが文献から確認されています。一方、能は、室町時代初期、世阿弥(ぜあみ)(1363?~1443?)によって大成されました。狂言とは対照的に、猿楽から滑稽な芸の要素をふるい落とし、謡(うたい)や舞によって、古典文学を題材とした幽玄(ゆうげん)の世界を表しています。狂言と能は、一方が笑いを、一方が幽玄を旨とする対照的な芸能と言えるでしょう。

狂言は、基本的に面(おもて)をかけない直面(ひためん)で演じられますが、神仏や鬼、植物や動物の霊、亡霊などの直面では演じにくい役と、老人、老女、お多福顔の女などの役では、狂言専用の面を用います。この狂言面の種類は約三十。親しみやすさを感じさせる老人の面「祖父(おおじ)」や、鬼や閻魔を表す面でありながら、どこか愛嬌のある「武悪(ぶあく)」などがあります。端正な造形の能面とは違う、親近感やユーモアにあふれる造形が狂言面の特徴です。

また、狂言で使用する装束(しょうぞく)は、重厚で華麗な能装束に対して、麻地に染めで文様を表した軽妙なものが主体です。そこには蟹や夕顔といった身近な動植物や、瓦のような身の回りの道具が、文様として巧みに意匠化されています。これらが大胆にデザインされた肩衣(かたぎぬ)や素襖(すおう)は、狂言を代表する装束です。一方で、狂言装束の中には、唐人役で使用する華やかな装束や、動物の着ぐるみなどもあります。

本展では、紹介される機会の少ない、井伊家に伝来した狂言の面と装束を展示します。能面・能装束とは異なる、狂言の諧謔味(かいぎゃくみ)ある面や大胆なデザインの装束を、この機会に是非ご覧下さい。

ギャラリートークの開催

名称
井伊家伝来 狂言の面と装束
会期
平成28年/2016年9月2日(金)~9月27日(火)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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