日本におけるスポーツのルーツは、神事や芸能、宮廷行事、武芸、遊戯など、多種多様です。時代による変遷を経て失われたものもありますが、相撲や蹴鞠(けまり)、弓道など、現代もなお盛んに行われているものが多くあります。
武士が戦場において用いる技能であった弓術や馬術、剣術などの武芸は、太平の世の江戸時代においても廃(すた)れることなく、武士の必須の教養として学ばれました。江戸時代中期には、8代将軍徳川吉宗(よしむね)(1684~1751)が鷹狩(たかがり)や流鏑馬(やぶさめ)を再興するなどして特に武芸を推奨しました。一方で、実戦から遠ざかったことにより、武芸は記録や勝敗を競う競技的要素の強いものへと変化していきました。
彦根藩井伊家は代々、「武」の家であることを家風とし、武芸が奨励されてきました。藩主やその子弟も幼少期からさまざまな武芸を嗜(たしな)んでおり、藩主自身が使用した馬具や弓具なども数多く伝来しています。また、藩主が藩士達による武芸を観覧する武芸上覧が行われ、藩士の子弟が学ぶ藩校ではさまざまな武芸が教授されました。
本展は、「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」が滋賀県で開催され、彦根も主要な競技会場となることをうけて開催するものです。井伊家伝来品を中心に、他の大名家ゆかりの品を併せて展示し、大名が形成と継承の一翼を担った現代のスポーツに通じる多様な文化を紹介します。
【関連事業】
(1)関連講座
記念講演会
「大名の武芸―吉宗・定信(さだのぶ)から真田幸貫(さなだゆきつら)へ―」
8代将軍徳川吉宗と、吉宗の孫にあたり、幕府老中として知られる松平定信(1758~1829)は、武芸奨励に尽力したことで知られます。彼らに加え、定信の子で武芸を奨励した名君、信濃国松代(しなののくにまつしろ)藩真田家の8代幸貫(1791~1852)を取り上げ、江戸時代の大名が取り組んだ武芸について紹介します。
講 師:山中さゆり氏(真田宝物館 研究員)
日 時:令和7年(2025年)10月25日(土) 午後2時~ *90分程度
会 場:当館 講堂
定 員:50名(当日先着順)
受講料:500円 (彦根市内の中学生以下は無料)
*展示の観覧には別途観覧料が必要です
(2)ギャラリートーク(展示解説)
講 師:今中啓太(当館学芸員)
日 時:令和7年(2025年)9月27日(土) 午後2時~ *40分程度
会 場:彦根城博物館 展示室1・2
参加費:無料
*ただし観覧料が必要です
【主な展示作品】

3 騎馬武者像(きばむしゃぞう) 1幅
*展示期間:9月27日~10月26日
重要文化財
縦99.9㎝ 横53.2㎝
南北朝時代
京都国立博物館蔵
12 重籐弓(しげどうのゆみ) 1張
全長212.4㎝ 江戸時代中期 本館蔵(井伊家伝来資料)

23 弓籠手・弓掛 徳川吉宗所用(ゆごて・ゆがけ とくがわよしむねしょよう) 1組
重要文化財
弓籠手裄69.7㎝
江戸時代中期
東京大学史料編纂所蔵(江戸幕府儒官林家関係資料)
25 悪馬新当流秘伝書(あくばしんとうりゅうひでんしょ)50巻
平石(ひらいし)包秀 筆
縦17.8㎝ 横82.7㎝
江戸時代 享保12年(1727)
本館蔵(井伊家伝来典籍)


56 居合刀(いあいがたな) 井伊直弼所用 1口
刃長78.8㎝
江戸時代本館蔵(井伊家伝来資料)

71 鞠・黒漆塗巴上り藤紋散蒔絵鞠挟
(まりくろうるしぬりともえのぼりふじもんちらしまきえまりばさみ)
1組 
*前期(9月27日~10月15日)展示
鞠 径17.5㎝
鞠挟 幅30.0㎝ 奥12.0㎝
高32.0㎝
江戸時代中期~後期
サントリー美術館蔵

85 化粧(けしょう)まわし
井伊直亮奉納 4腰
幅約61.5㎝ 長約399㎝他
江戸時代後期
日撫(ひなで)神社蔵







