彦根藩大久保家文書は、彦根藩士である大久保孫左衛門家に伝来した古文書です。同家は、知行1,400石で用人役などを勤めた大久保新右衛門家の分家で、初代員元(かずもと)が貞享3年(1686)に小姓として召し出されたのをはじまりとします。以後、6代目までの同家の歴代当主は母衣役という武役を務めたほか、井伊家の江戸屋敷に詰め江戸城で幕府老中と連絡調整などを行う城使役、藩主世子等の側近などを務めました。中でも6代目員好(かずよし)(小膳、こぜん)は、井伊家12代直亮(なおあき)から13代直弼(なおすけ)、14代直憲(なおのり)と3代に渡る藩主の側近を勤め、また、幕末から明治前期に井伊直弼関係の古文書を密かに保管し守り抜いた人物でもあります。
彦根市に寄贈された彦根藩大久保家文書のうち、江戸時代の6,207件の文書がこのたび彦根市指定文化財に指定されました。
同文書には、側役や小納戸役、鷹頭取など、同家当主が役職を務めたことにより収受・作成されたものが多く含まれており、それぞれの役職実務の実態を知ることができます。また、井伊家当主宛の文書や風聞書など、本来であれば彦根藩井伊家に伝来したはずの文書群も混在しています。これは、大久保員好が井伊直弼関係の古文書を保管していたことにより、その際に混入したものの可能性があります。他に、幕末期に京都・大坂や広島等、日本各地を転戦した井伊直憲の動向を示すものもあり、幕末維新期の井伊家の活動を詳細に知ることができます。その他、兵法書や軍学書などの武芸に関するものや、能の相伝書などの文芸に関するものも多く伝来しています。
彦根藩大久保家文書は、藩士の立場から彦根藩の歴史を具体的に見ることができるもので、彦根藩井伊家文書と組み合わせることにより、井伊家や彦根藩の歴史をより深く知ることができる重要な資料です。本展示では、これら6,207件から厳選した資料をお披露目します。
【主な展示作品】
1. 御鷹頭取勤向諸事留 1冊
大久保員好作成
縦 12.3㎝ 横 34.1㎝
万延元年(1860)
2. 愛麿様附人就任誓詞 1通
大久保員好作成
縦 28.7㎝ 横 56.8㎝
安政4年(1857)3月5日

3. 大久保小膳日記 1冊
縦 12.0㎝ 横 34.3㎝
大久保員好作成
慶応2年(1866)6月






