

大名道具の随一は刀剣です。刀剣を所持して有事に備えることは武門として当然のことですが、時として刀剣は、武器としての役割を超え、神仏に捧げる宝物として、あるいは人と人との間で行われる贈答の品として、重要な存在とされました。特に贈答儀礼が定例化した江戸時代には、将軍家や朝廷、大名家などの間で刀剣の贈答が頻繁に行われるようになりました。そこでは、名刀や古作の刀剣、著名な刀工の作品が珍重されました。
江戸時代の井伊家には、おびただしい数の刀剣が集積されました。その多くは震災などにより失われたものの、現存する刀剣は、歴代当主の指料(さしりょう)を中心に約60口(ふり)を数えます。大名家にふさわしく古刀期の作例が多く遺され、山城(やましろ、現在の京都府)や大和(やまと、現在の奈良県)、備前(びぜん、現在の岡山県)などの各地の名工の作が含まれています。
指料とは、腰に差した刀剣、つまり携行して用いる刀剣のことを示す言葉です。指料は、武士に必須の装具であり、時には、自身の分身ともいえるような大切な存在とされました。井伊家歴代も、自らの指料を調えるとともに、これを保護し、装飾する鞘(さや)や柄(つか)、鐔(つば)などの拵(こしらえ)一式を誂(あつら)えました。現存 する歴代の指料を一覧すると、江戸時代の当時、一般に名刀とされたような古作や有名な刀工の作ばかりではないことから、その選定にあたっては、各所用者の意向が反映されていると考えられます。
本展では、初代直政(なおまさ、1561~1602)の指料と伝わる名工来国光(らいくにみつ)の太刀(たち)を筆頭に、井伊家歴代の刀剣12口を、拵や関連の古文書などとともに一堂に展観します。武家文化の粋とも言える刀剣の美の世界を堪能いただき、歴代当主の個性や時代背景にも思いを馳せていただく機会となれば幸いです。
当館は、令和9年(2027)2月11日に開館40周年を迎え、これを記念し、約1年にわたり、全9回にわたる展覧会「シリーズ THE DAIMYO」を開催します。本展はその第4弾として開催するものです。
【関連事業】
(1)ニコニコ美術館・刀剣機構コラボレーション企画
展示解説ライブ配信 *終了しました
日 時:令和8年(2026年)7月24日(金) 午後7時~ *120分程度
会 場:彦根城博物館 展示室1ほか
講 師:進行 橋本麻里氏
(一般社団法人 刀剣文化研究保全機構 業務執行理事)
解説 茨木恵美(当館学芸員)
中橋優斗(当館広報担当)
特別ゲスト ひこにゃん
番組製作:一般社団法人 刀剣文化研究保全機構、株式会社ドワンゴ
アーカイブは↓からご覧いただけます
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⑵ギャラリートーク *終了しました
日 時:令和8年(2026年)7月25日(土) 午後2時~ *30分程度
会 場:彦根城博物館 展示室1
講 師:茨木恵美(当館学芸員)
その他:観覧料が必要
【主な展示資料】
▼御代々御指料帳 1冊(作品リストNo.17)
縦29.8cm 横20.8cm
文化9年(1812)成立 明治時代増補
重要文化財
当館蔵(彦根藩井伊家文書)

















