漆喰枡
彦根城博物館の中央に建つ能舞台は、表御殿の中で唯一現存する江戸時代の建物です(彦根市指定文化財)。寛政12年(1800)、この場所に建てられた能舞台は、明治以降、他の場所に移されていましたが、博物館の建設を機に本来の場所に移築復元しました。
屋根・柱などの形式、また橋掛りや鏡板の葉冠(ようかん)からみて、格式ある舞台としての規格が整っているのがわかります。
この能舞台の特徴は、舞台・後座(あとざ)・橋掛りの下から見つかった漆喰製の桝(ます)にあります。この桝には音響を高める効果があり、当時十分な配慮のもとに設計されていたことがうかがえます。
この能舞台では、毎年「彦根城能」や「狂言の集い」を開催しており、由緒ある能舞台で伝統芸能に触れる機会として好評を得ています。