滋賀県立琵琶湖文化館は、県内の公立博物館のさきがけとして、昭和36年(1961年)に開館しました。
その前身は、昭和23年(1948年)に設立された滋賀県立産業文化館です。この館は、滋賀県初代民選知事の服部岩吉(はっとりいわきち)が、当時、全国各地の文化財が海外へ盛んに流出していた状況を憂い、滋賀県の文化財保護をすべく、設立を主導しました。この館では、展覧会事業や講演会などの普及啓発事業、文化団体等への交流スペースの貸し出しなどが行われました。その内容を引き継ぐ博物館としての機能に加え、展望閣や水族館、プール、熱帯植物園、レストランなども備えた複合施設として、大津市の琵琶湖上に新たに誕生したのが、琵琶湖文化館でした。
琵琶湖文化館では、約半世紀にわたり、県内の寺社や個人が所有する文化財の調査や、展覧会の開催などの活動が、精力的に続けられました。また、地域の文化財を保護するという方針に基づき、県内の文化財の寄託や寄贈を積極的に受入れてきました。収蔵資料はおよそ8,300点を数え、寺社などから寄託された仏像や仏画などの仏教美術や、購入や寄贈により収集された近世絵画、書跡ややきものなど、近江の歴史と文化を伝える貴重な内容となっています。
平成20年(2008年)4月、琵琶湖文化館は、施設の老朽化のために惜しまれながらも休館し、平成31年(2019年)には、その収蔵品を移転して県立新生美術館が開館する予定となっています。
本展では、琵琶湖文化館の所蔵品から、彦根出身の書家として名高い日下部鳴鶴(くさかべめいかく)の書跡や、同じく彦根出身の絵師張月樵(ちょうげっしょう)の絵画、彦根で制作された湖東焼など、彦根に関わりのある書画とやきものを一堂に展示します。彦根ゆかりの名品の数々を、どうぞご覧ください。
主催:彦根城博物館
共催:滋賀県立琵琶湖文化館
【主な展示作品】
▼長春孔雀図 張月樵筆 滋賀県立琵琶湖文化館蔵
▼詩書「帰去来辞」 日下部鳴鶴筆 滋賀県立琵琶湖文化館蔵
▼湖東焼 色絵花卉図鉢 鳴鳳絵付 滋賀県立琵琶湖文化館蔵