展覧会

鐔とりどり―技巧と意匠の粋―

開催期間:令和8年/2026年3月19日(木)~4月20日(月)

鐔(つば)は刀の装具の一つです。刀身と柄(つか)の境に装着することで刀の重心を整え、柄を握る手が滑ることを防ぐ働きを担います。また、相手の攻撃の盾となって手を保護する役割をも担っています。鐔の歴史は古く、現在確認される最も古い形は、古墳時代の大刀(たち)鐔にまで遡ります。奈良時代の唐大刀、平安時代の太刀(たち)、室町時代に現れた打刀(うちがたな)など、刀の形態の変遷に伴って、これに装着する鐔の形も変化しました。

鐔が大きく発展したのは室町時代です。この頃、騎馬戦から密集隊形の徒歩戦へと戦闘形態が変化し、弓に代わって刀や槍の使用が盛行しました。これに歩調を合わせ、腰に下げて着用する太刀の代わりに腰に差して用いる打刀が新たに誕生し、これが以後の刀の主流となります。そして、その装具である打刀鐔の制作も盛んになりました。定型的な様式美が追求された太刀鐔と異なり、打刀鐔では、多様な需要層の嗜好を反映して、多彩な意匠が追求されました。

打刀鐔は、簡素な丸形の鉄板鐔に始まり、これに小透文(こすかしもん)をつけた透鐔(すかしつば)が生まれました。一方で、高彫りや毛彫りを施した太刀鐔の影響を受けた、より精緻な彫文様の打刀鐔も生まれました。鐔の素材も、鉄の他に、銅や金、銀の合金などが用いられるようになり、文様表現でも、色絵や象眼などのより高度な技法が駆使されるようになります。

室町時代前期頃までは、鐔の制作は甲冑師や刀匠が余技的に行っていたとされますが、室町時代中期になると、鐔専門の金工も現れました。美濃の金工集団が、高肉彫りの力強い彫法で文様を表し、鐔を飾ったのもこの頃です。桃山時代には、埋忠明寿(うめただみょうじゅ)などの名工が輩出し、鐔の芸術性を一挙に高めたと言われます。江戸時代には、美濃出身の後藤祐乗(ごとうゆうじょう)を祖とし、装剣金工の宗家として代々為政者に仕えた後藤家が、将軍家はもちろん、大名家にも重用されました。江戸時代中期になると、各地で諸派が繁栄し、彦根でも喜多河宗典(きたがわそうてん)の一派が生まれ、彦根彫りと呼ばれた濃密な高彫り意匠で一世を風靡しました。

本展では、井伊家伝来品を中心に、鐔の優品が一堂に会します。藩主所用の指料(さしりょう)を彩った埋忠明寿の作、喜多河宗典晩年の逸品など、鐔愛好家垂涎の名品も登場します。掌に収まるような小さな鐔。その一つ一つにあしらわれた精緻な技と、時に大胆、時に繊細な意匠の数々をご堪能ください。

 

【関連事業】

ギャラリートーク
 講 師:今中啓太(当館学芸員)
 日 時:令和8年(2026年)3月21日(土) 午後2時~*30分程度
 会 場:彦根城博物館 展示室1
 参加費:無料(観覧料が必要)

 

【主な展示資料】

 

▼鉄地生花透鐔 1枚(作品リストNO.5)
銘 表「江州記内」
直径:8.3㎝
江戸時代初期
本館蔵(小笠原信夫氏寄贈資料)

 

▼赤銅魚子地木瓜形高彫橘紋・赤銅魚子地喰出形高彫橘紋大小鐔 2枚(作品リストNO.7)
(大)縦径:7.8cm 横径:7.8cm
(小)縦径:5.4cm 横径:3.6cm
江戸時代前期
本館蔵(井伊家伝来資料)

 

▼四分一地高彫葡萄栗鼠・枇杷栗鼠透大小鐔 2枚(作品リストNO.15)
銘 (大)表「長州幸登図 石黒政常(花押)」
銘 (小)表「長州幸登図 石黒政常(花押)」
(大)直径:8.2cm
(小)直径:7.6cm
江戸時代中~後期
本館蔵(井伊家伝来資料)

 

▼赤銅地毛彫色絵象嵌波に蛸・波に海獣図昼夜鐔 1枚(作品リストNO.38)
銘 波に海獣図面「井関八左衛門作」
縦径:8.7cm 横径:8.1cm
江戸時代中~後期
本館蔵(井伊家伝来資料)

▼銀地毛彫色絵象嵌波に三日月図鐔 1枚(作品リストNO.39)
銘 裏「月光美(花押)程乗」
直径:7.0cm
江戸時代中~後期
本館蔵(井伊家伝来資料)

 

 

 

名称
鐔とりどり―技巧と意匠の粋―
会期
令和8年/2026年3月19日(木)~4月20日(月)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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展示作品リスト



主な展示作品

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