華南三彩(かなんさんさい)は、中国・明時代(1368~1644)後期に華南地方で焼かれたやきものです。日本へは16世紀末から17世紀前半にフィリピンやベトナムを経由してもたらされ、主に茶の湯の道具として用いられました。緑や黄、紫の鉛釉を掛け分ける三彩の技法で制作されており、日本では、この種の三彩作品が交趾(現在のベトナム)を産地とすると考えられていたために、「交趾焼(こうちやき)」と呼ばれてきました。華南三彩の鮮やかな色遣いは人々を魅了し、京焼や九谷焼などの発展にも大きな影響を与えました。
この度、新発見の希少な華南三彩壺が当館に寄贈されました。本展では、この新収蔵品とともに、井伊家伝来茶道具に含まれる華南三彩の優品を展示し、未解明な点の多い華南三彩の制作状況や制作技法、日本における受容の様子を紹介します。
【主な展示資料】
▼三彩宝相華文壺
口径 12.0cm 底径 15.1cm 高 23.8cm
中国・明時代
底部墨書
「ふたなし/風袋/六百七十目」