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「雅な遊び」

開催期間:平成29年/2017年9月8日(金)~10月11日(水)

古来、日本で行われた遊びの多くは、古代中国から伝来した文化に起源があるとされています。その代表的な存在として知られるのが碁(ご)と双六(すごろく)です。この二つの遊びは、すでに奈良時代には日本に伝えられており、古い例としては、正倉院宝物として遺された碁盤や双六盤を挙げることができます。これらは、後に伝来した将棋(しょうぎ)とともに三大盤上遊戯(ばんじょうゆうぎ)として親しまれ、日本の伝統的な遊びとして長く受け継がれることとなりました。

平安時代になると、和歌や仮名文字、物語文学をはじめとする雅(みやび)な宮廷文化が花開き、その隆盛にともなって、日本独自の遊びの文化が形成されました。この頃に宮中で行われた歌合わせや貝合わせ、香合わせなど、趣向を凝らした品を出し合ってその出来を競う「合わせもの」や、雅楽(ががく)、蹴鞠(けまり)、雛遊びなどの雅な遊びは、後に、宮中のみならず広く行われるようになり、その遊戯法も次第に変化していきました。

たとえば貝合わせは、平安時代の末には、同じ貝でないと殻(から)が合わないという特性を生かし、対になる貝を当ててその数を競う「貝覆(かいおお)い」の遊びへと変化し、鎌倉時代から室町時代の頃には、この貝覆いが貝遊びの主流となりました。さらに江戸時代には、二枚貝は夫婦の強い絆を象徴するものと考えられ、貝覆いの貝とそれを入れる貝桶(かいおけ)が、婚礼調度の筆頭として用いられるようになります。また、もとは貴族の遊びとして興じられていた蹴鞠や聞香(もんこう)、聞茶(ききちゃ)などは、室町時代の頃にその技術や理論が洗練され、師から弟子へと継承される「芸道(げいどう)」へと変化を遂げました。宮中で行われた雅な遊びは、形を変えながら脈々と受け継がれてきたのです。

桃山時代になると、ポルトガルやスペインから伝来したいわゆる南蛮文化が、日本古来の遊びに多様な広がりを与えました。なかでもカルタは、百人一首をはじめとする歌カルタなどに展開し、大いに普及しました。江戸時代以降は、源氏物語の絵入り版本が出版されるなど、平安時代以来の雅な遊びの文化が、より広い層で受容されるようになります。

本展では、井伊家伝来品を中心に、雅楽器や香道具、雛人形など、雅な遊びにまつわる品々を紹介します。日本の伝統的な遊びの文化に触れていただくとともに、精緻(せいち)な技巧で彩られた遊戯具の工芸的な魅力にも、是非注目してご覧ください。

ギャラリートークの開催

 

【主な展示作品】

▼黒漆塗金蒔絵碁盤(くろうるしぬりきんまきえごばん)  当館蔵

▼笙(しょう) 銘元永丸(めいげんえいまる)  当館蔵

▼伊勢物語歌かるた 当館蔵

▼楊弓(ようきゅう) 当館蔵

 

名称
「雅な遊び」
会期
平成29年/2017年9月8日(金)~10月11日(水)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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展示作品リスト


主な展示作品

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