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国宝・彦根屛風

開催期間:令和4年/2022年4月15日(金)~5月15日(日)

 当館所蔵の風俗図(彦根屛風〔ひこねびょうぶ〕)は、近世初期風俗画の傑作として高く評価され、国宝に指定されています。「彦根屛風」の名は、代々彦根藩主であった井伊家に伝来したことによる命名で、一般に広くこの名で知られています。近年、井伊家12代の直亮(なおあき、1794-1850)が購入したことが明らかになりました。
 この屛風の制作は、江戸時代初期の寛永年間(1624-44)頃と考えられており、舞台は、当時の京の遊里(ゆうり)と推定されています。各人物は、屛風の山折りと谷折りの形態を活かし、それぞれが緊密な対応関係にあり、そのさまざまな姿態とともに、計算し尽くした完成度の高い構図がとられています。また、人物の髪や衣装の文様等、線描と賦彩は精緻を極め、器物や衣装の質感までもが表現され、生々しいまでの印象を与えます。そして、三味線、双六、恋文、画中画の屛風絵は、漢画の伝統的画題である琴棋書画(きんきしょが)の見立てと解され、屛風絵は室町時代の本格的な漢画の技法で描かれるなど、単純な風俗画を超えた、重層的な要素が随所に盛り込まれています。勿論、小袖や唐輪髷(からわまげ)などの装いや種々の遊びなど、江戸時代初期の風俗をリアルに表現する点でも高く評価されています。
 このように、多様な魅力を持つ屛風ですが、画中に落款はなく、作者は特定されるに至っていません。現在は、卓越した素養と手腕を持つ狩野派の絵師の手になると考えられています。
 本展は、来館者の多いゴールデンウィークを含めた約1ヶ月間、彦根の誇る名宝、彦根屛風を公開し、その魅力を堪能していただこうとするものです。併せて、彦根屛風の影響のもとに描かれた作品1件を展示します。

スライドトーク

 

 

▼展示作品

1 風俗図(彦根屛風)

本紙(絵を描いている部分):縦94.0㎝ 横271.0㎝
江戸時代 寛永年間(1624-44)頃
当館蔵

彦根屏風01

彦根屏風03

 

彦根屏風04

 

2 美人曳犬図(びじんひきいぬず)

本紙(絵を描いている部分):縦105.1㎝ 横31.9㎝
江戸時代中期~後期
個人蔵

 彦根屛風第2扇の犬を曳く女性のみを描いた掛幅。原本とほぼ同じ姿態で描かれますが、比較的淡い色彩で、髷(まげ)も細かい線を省き簡略化しています。原本の密な感じは薄れ、あっさりした印象を与えます。
 画中に江戸時代前期に活躍した絵師の名をあらわす落款(らっかん)がありますが、その画風により、制作時期はそれより下がるものと見られます。江戸時代以来、彦根屛風の摸写や翻案作品は数多く制作されました。このことは、彦根屛風の評価の高さ、後世への影響力を示す証左と言えます。
 なお本作は、井伊家の子女が嫁ぐ際、婚礼調度のひとつとして持参したものとの伝えがあります

 

 

名称
国宝・彦根屛風
会期
令和4年/2022年4月15日(金)~5月15日(日)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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