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武家の備え-井伊家伝来の馬具-

開催期間:令和2年/2020年8月21日(金)~9月15日(火)

 武家のことを「弓馬(きゅうば)の家」と呼ぶように、弓術と馬術は、武士にとって不可欠な技能でした。武士が登場した平安時代、戦闘形態は馬上から弓を射る形が主流になり、馬を操る力は、戦で勝利を収めるためにも必要な能力だったのです。そのため、平時から騎馬の訓練が行われ、鎌倉時代には人馬一体となった武芸が奨励されるようになり、以後も武家では馬術の修練が重ねられていきました。
 馬を操るには、技能のほかに様々な道具が用いられます。代表的なものでは、馬の背に置いて坐るための鞍(鞍橋〔くらぼね〕)、馬に乗る際に足を掛け、騎乗時は足を置く鐙、乗り手の意思を馬に伝えるための手綱や轡(くつわ)などが挙げられます。これらは実用的な道具であり、簡素に仕上げたものも見られますが、美しい装飾を施したものが古墳時代の遺物にも確認され、奈良時代以降は金銀泥や漆で彩られたものが使用されていきました。
 彦根藩井伊家では、鞍や鐙をはじめとする数多の馬具を所持していたことが古文書からうかがえます。江戸で管理されていた馬具の詳細は不明ですが、江戸時代末期に彦根で保管されていたとみられるものだけでも430件以上、鞍鐙に限っても130件ほど見られます。その種類は、公務で用いたであろう黒漆塗に金で橘の家紋を表したシンプルなものから、平時に使用したと考えられる金蒔絵などで意匠をあしらったものまで多岐にわたります。
 武家にとって馬や馬具は、戦に欠かせないものであると同時に、武を象徴するものでもあり、馬のみ、あるいは馬具を備えた馬が、古来、主家と家臣との間で下賜・献上の品として贈られていました。こうした贈答の慣習は、江戸時代に至るまで続き、井伊家でも、将軍家から拝領した馬や馬具の記録がしばしば見られ、他家から井伊家に贈られた品も確認できます。
 現在、彦根城博物館には、井伊家伝来の馬具が100件近く収蔵され、一部の作品は、古文書に記された馬具と合致しています。本展では、これら井伊家伝来の馬具から、鞍や鐙のほか、普段あまり公開することのない手綱や轡、障泥(あおり)、鞍覆(くらおおい)、馬柄杓(まびしゃく)などを展示します。また、これらの作品を通じて、当時の武家にとって馬具がいかなる道具であったのかを併せて紹介します。

 

【主な展示資料

▼黒漆塗橘紋蒔絵鞍・黒漆塗鐙(くろうるしぬりたちばなもんまきえくら・くろうるしぬりあぶみ)

 

 

 

 

 

 

▼黒漆塗竹蒔絵鞍(くろうるしぬりたけまきえくら)および附属品

 

 

 

 

 

 

 

◆展示解説◆
と き:8月22日(土)午後2時~(受付は午後1時30分~)*40分程度
ところ:彦根城博物館 講堂
定 員:25名(当日先着順)
費 用:無料 *展示室の入室には観覧料が必要です。
担 当:古幡 昇子(当館学芸員)

名称
武家の備え-井伊家伝来の馬具-
会期
令和2年/2020年8月21日(金)~9月15日(火)
休館日

 9月1日(火)

開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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主な展示作品

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