展覧会

吉祥―招福の意匠―

開催期間:令和7年/2025年1月1日(水・祝)~2月2日(日)

 「吉祥(きっしょう)」とは、めでたい兆し、良いしるしを表す言葉です。古来より人々は、さまざまな事物、事象に吉祥性を見出し、それを意匠化することで、福が訪れるよう願いました。日本の吉祥の意匠は、中国に起源を持つものが多くあります。よく知られる意匠には、龍や麒麟、鳳凰などがあります。龍は、水を操る力を持ち、古代においては水神として崇められ、強大な力を持つことから、権威と結びつき、後に皇帝の象徴にもなりました。また、麒麟、鳳凰は、有徳の君主が現れた際に出現するという伝説を持ちます。これら三者は、吉事を予感させる瑞獣とされ、尊ばれました。
 吉祥の意匠には、古代中国で広まっていた神仙思想に由来を持つものも多くあります。神仙思想とは、修行し仙人となることで、病苦や死から切り離された神仙境に住まい、その永遠の生を謳歌することを目指すという思想です。神仙世界には、寿老人や西王母などの仙人、神仙境に根付く永遠に枯れない松や竹、1000年以上生きる鶴亀、仙人が使役する長寿の鹿などが存在し、理想の世界を形作っていました。これら一つ一つが、吉祥の意匠として現代まで引き継がれています。また、神仙世界で描かれる松、竹、梅は、逆境でも清廉潔白な人物を讃えた故事「歳寒三友(さいかんさんゆう)」によって、一つの組み合わせとして捉えられるようになり、現在、日本での吉祥意匠の主流となっています。
 上記以外にも、人々は福を求めて、多様な意匠を身の回りの品々に取り入れていきました。例えば、故事「登龍門」の滝を登る鯉は立身出世、音が「禄(ろく)」(財産、地位)に通じる鹿は豊かな財産、多くの唐子(からこ)が表された唐子遊図は子孫繁栄をそれぞれ象徴するとされます。これら中国発祥の意匠に加え、日本では独自の吉祥文様も生まれました。その中には、邪気を払う七五三縄(しめなわ)、勝虫(かちむし)と呼ばれ武士から好まれた蜻蛉、末広がりの形から繁栄や発展を意味する扇などの意匠があります。
 本展では、吉祥文様に彩られた品々を一堂に会し、その文様が持つ意味を紐解き、新年を華やかに言祝ぎます。

ギャラリートーク(展示解説)

 

【主な展示資料】

▼金地蓬莱図中啓
全長:35.0㎝
江戸時代

 

 

 

 

 

 

▼寿老人図
狩野永岳 筆
縦:95.3㎝ 横:35.2㎝
江戸時代

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼紫水晶鶏諫鼓硯
最大幅:30.2㎝ 高:8.0㎝
江戸時代

 

 

 

 

 

 

▼能装束 四季草花の熨斗札散らし文様に鶴亀紋掛直垂
丈:98.5㎝ 裄:102.5㎝
江戸時代

 

 

 

 

 

 

 

名称
吉祥―招福の意匠―
会期
令和7年/2025年1月1日(水・祝)~2月2日(日)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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