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大名と菓子―百菓繚乱―

開催期間:令和5年/2023年10月7日(土)~11月6日(月)

 古来、日本では、中国などの外国の文化の影響を受けながら独自の菓子の文化が育まれてきました。古くは菓子と言えば果実でしたが、奈良時代には、大陸文化の影響を受け、米や麦などの穀類、豆・そばなどの雑穀類、砂糖を原料に、蒸したり油で揚げたりといった複雑な製法を駆使した菓子が作られるようになりました。これが、現在の和菓子の原型と言われています。このような加工菓子は、南北朝末期から室町時代には、茶の湯をはじめとする饗応文化の発展の中で、より広い層に求められるようになります。そして、桃山時代にもたらされた南蛮文化の影響も受け、江戸時代中期には、加工菓子を中心とする菓子の形式が洗練され、完成の域に達したと言われています。
 江戸時代、菓子は、幕府の儀礼や贈答の場で重用され、江戸は、菓子作りの先進地であった京とともに、菓子文化の中心地となりました。大名たちはしばしば、好みの菓子を注文し、自らが食すだけでなく、他大名や家族、家臣への贈り物として用いていました。贈られた菓子が気に入れば、御用菓子屋に同じものを作らせるなどして楽しんでいたことも、近年の研究から明らかになってきました。
 将軍家や大名家の御用を勤めた菓子屋に伝来した注文書や、菓子意匠の見本帳、菓子製作で用いる木型などを見ると、大名たちが、自らの「好み」を菓子に体現すべく、その味や意匠に趣向を凝らしていたことが窺い知れます。実は大名こそが、江戸時代の菓子文化の醸成を牽引したと言っても過言ではないのです。
 令和5年4月、彦根市は「井伊直弼公の功績を尊び茶の湯・一期一会の文化を広める条例」を制定しました。本展は、この条例の施行記念として開催するもので、茶人としても著名な松江藩松平家7代治郷(はるさと、号 不昧(ふまい)、1751~1818)や、「数寄(すき)の殿様」と呼ばれた紀伊藩徳川家10代治宝(はるとみ、1771~1852)、菓子器を自作し茶会に用いた彦根藩井伊家13代直弼(なおすけ、1815~60)らをはじめ、菓子に深い関心を寄せた大名たちにゆかりの菓子木型や菓子雛形、茶会記や注文書などの種々の資料を一堂に展示します。華やかな彩りに満ちた大名と菓子の世界をご覧ください。

ポスター・ちらし
図録
 

【関連事業】
(1) 講演会
  ① 記念講演会「江戸時代の菓子文化」
  ② 講演会「井伊家と菓子」

(2) スライドトーク

 

【主な展示資料】

▼黒漆塗柏葉文螺鈿沈金高坏
最大径 32.0cm 高さ 28.3cm
桃山時代
サントリー美術館蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

▼禁裏下賜玄猪餅
最大径 2.0cm 厚み0.25cm 他
江戸時代後期
京都府立京都学・歴彩館蔵

 

 

 

 

 

 

▼阿蘭陀料理図
重要文化財
縦 27.6cm 横3 21.8cm
文化9年(1812) 小林義兄 写

 

 

 

 

 

 

▼金澤丹後文書の内 金澤丹後大手御用鑑札
縦 14.4cm 横 11.0cm
慶応3年(1867)2月
江戸東京博物館蔵

 

 

 

 

 

 

 

▼復元菓子「ハリスへの接待菓子」
各 縦 47.0cm 横 41.0cm
制作:福留千夏、協力:虎屋文庫、写真提供:たばこと塩の博物館
平成19年(2007)
玉泉寺ハリス記念館蔵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼菓子木型「錦花糕」
各 縦 22.8cm 横 17.5cm
江戸時代後期
両口屋是清蔵

復元菓子「錦花糕」
各 縦 13.3cm 横 14.3cm
令和5年(2023)両口屋是清蔵

 

 

 

 

 

 

▼駿河屋伝来菓子木型の内 「蟠桃」
和歌山市指定文化財
縦 21.2cm 横 28.1cm
江戸時代後期 天保12年(1841)
和歌山市立博物館蔵

 

 

 

 

 

 

▼多賀杓子形菓子器
高さ 4.7cm 最大径 23.3cm
井伊直弼 作
江戸時代後期

名称
大名と菓子―百菓繚乱―
会期
令和5年/2023年10月7日(土)~11月6日(月)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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展示作品リスト


主な展示作品

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