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井伊直亮の雅楽器収集
―大コレクション形成の現場―

開催期間:令和5年/2023年6月23日(金)~7月25日(火)

 数え年19で家督を継ぎ57歳で没するまで、38年の長きにわたって藩主をつとめた、彦根藩井伊家12代直亮(なおあき 1794-1850)。彼の生涯は、質量ともに充実した多彩なコレクションに傾注する日々でした。
 今に伝わる直亮のコレクションの随一は雅楽器です。その数は260点余、関連資料や楽譜などを含めると600点の多数にのぼり、日本屈指の雅楽器コレクションとして知られています。直亮自身が記した目録「楽器類留(がっきるいとめ)」には、300点ほどの楽器が掲載されているので、その大半が現存していることになります。
 楽器1つ1つを見ていくと、直亮が、いかにコレクションした品々に思いを寄せていたかがよく分かります。目録には附属品や購入の遣り取りをした書状の内容に至るまで詳細に記し、その書状類は楽器とともに箱内に納め、さらには自身の覚え書きも入れ込んでいます。整理番号の札の文字も自ら記し、箱を保護する保存箱を拵えさせて箱書きをしています。華やかな蒔絵の内箱を新たに特注することもあり、音色の優れた名器は、公卿に名(銘)をつけていただくよう依頼し、自らが命銘することもありました。
 購入元は江戸の菊岡(きくおか)や京の神田(かんだ)をはじめとする楽器商、そして直亮の雅楽の師である楽家の安倍(あべ)や山井(やまのい)が仲介することも多く、家臣からの献上例も見受けられます。購入にあたってはよく吟味し、値段交渉も怠りませんでした。
 直亮の遺した極めて豊富な記録や作品に接すると、まるで収集の現場に居合わせているかのような錯覚に陥ります。本展は、これら資料を具体的に見ていくことで、直亮の雅楽器コレクションの様相を浮き彫りにし、併せて、それによって見えてくる当時の雅楽器の評価や流通についても考えようとするものです。
 

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【主な展示資料】

▼笙 銘海棠丸
覚仁作
総高 46.6㎝
鎌倉時代 元亨3年(1323)

 

 

 

 

 

 

 

 

▼海棠丸笙代金請取証文
縦 33.0㎝ 横 45.0㎝
江戸時代 弘化元年(1844)12月21日付

 

 

 

 

 

 

▼笙 銘大信貴
総高 51.3㎝
鎌倉時代

▼笙 銘小信貴
頼尊作
総高 46.9㎝
鎌倉時代 文永2年(1265)

 

 

 

 

 

 

▼楽器類留
井伊直亮筆
各縦 28.8㎝ 横 20.0㎝
江戸時代後期

 

 

 

 

 

名称
井伊直亮の雅楽器収集
―大コレクション形成の現場―
会期
令和5年/2023年6月23日(金)~7月25日(火)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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