展覧会

井伊家と能―大名文化の精華―

開催期間:令和7年/2025年3月20日(木・祝)~4月20日(日)

 能は、世阿弥によって大成された室町時代の初期以来、武家の庇護の下に発展してきました。足利将軍家の愛顧を受け、豊臣秀吉の時代には武家が能を保護する体制が作られます。
 これを引き継いだ徳川幕府は、能を幕府の式楽(公的儀式の際に行う楽舞)と定めて保護し、五座(観世、金春、宝生、金剛、喜多)の役者を召し抱えました。幕府に倣い、全国の諸藩も盛んに能を催したことで、能は大名とその家臣に浸透し、武家の芸能として定着します。また、面や装束をはじめとする能道具にも一層の洗練が加えられ、能はこの時代に現在見る形になりました。幕府や大名家の儀礼や祝儀を彩った能は、まさに大名文化の華といえるでしょう。
 彦根藩井伊家においても、藩の儀式などで頻繁に能が催されました。4代直興(なおおき、1656~1717)による喜多流の役者の召し抱えが縁となり、以後、井伊家では喜多流が浸透します。特に能が盛んとなったのは、10代直幸(なおひで、1731~89)、11代直中(なおなか、1766~1831)の時代です。直幸は若い頃から喜多流宗家の弟子となり、謡や舞などの修養につとめ、同じく能を愛好した直中も、喜多流を中心に多くの役者を召し抱えました。寛政12年(1800)には彦根城表御殿に能舞台が、その後、槻御殿にも舞台が建てられ、井伊家の能は最盛期を迎えます。当主だけでなくその子弟や家臣も謡や鼓などを嗜み、井伊家の能の担い手となりました。さらに、12代直亮(なおあき、1794~1850)も新たに役者を召し抱え、13代直弼(なおすけ、1815~60)は自ら能や狂言を作ったことが知られています。また近代には、15代直忠(なおただ、1881~1946)が観世流の能を愛好し、生涯、能に打ち込みました。
 本展は、古来、能が祝いごとの際に催されてきたことにちなみ、彦根城博物館のリニューアルオープンにあわせて開催する展覧会です。繊細な彫技を駆使した能面、染織技術の粋を凝らした華麗な能装束、そして井伊家伝来の古文書や絵図を通して、大名文化の精華である能と大名家との関わりを紹介します。

【関連事業】

(1)関連イベント ※本イベントの申し込みは終了しました
  彦根城博物館リニューアルオープン記念イベント
  「体感!大名家の能舞台」

(2)ギャラリートーク(展示解説)

 

【主な展示資料】

▼側役日記
重要文化財
縦 28.9㎝ 横 20.5㎝
江戸時代 明和6年(1769)

 

 

 

 

 

側役日記 明和6年2月15日条

 

▼能役者由緒帳
重要文化財
縦 29.6㎝ 横 22.3㎝
江戸時代後期

 

 

 

 

 

能役者由緒帳 部分(喜多織衛家)

 

 

 

 

 

能役者由緒帳 部分(茂山千五郎家)

 

▼喜多盈親書状 今村市之進・酒居三郎兵衛・今村平吾宛
縦 22.0㎝ 横 15.0㎝
江戸時代 寛政12年(1800)閏4月29日

名称
井伊家と能―大名文化の精華―
会期
令和7年/2025年3月20日(木・祝)~4月20日(日)
休館日
会期中無休
開館時間
午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料
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