うらしまず
浦嶋図 1幅 |
元信印 近衛稙家賛 |
紙本著色 |
縦46.0 横66.9cm |
室町時代 |
井伊家伝来資料 |
緑豊かな山影に、数軒の屋根が見える小島。そして、波静かな入江には、小舟で釣糸を垂れる漁夫が1人。公卿近衛稙家(このえたねいえ)(1503~66)の賛には、関東の田嶋助久の家に700余年の長きにわたって伝わる茶道具茶鼎(さてい)は、寿相を讃えて浦嶋と名付けられたが、それに因む和歌を所望されたのでここに詠じるとあります。画は、浦嶋子伝説をイメージされて描かれたものとみられます。「元信」印は、後印とも考えられますが、その画風から、狩野元信(かのうもとのぶ)(1476?~1559)自身もしくは彼にごく近い人物が描いた可能性が高いものです。対象を明確に捉える真体の精緻な画と、流麗な書が響き合った、格調高い佳品。
すむかめ(亀)のいかにゆづりて浦しま(嶋)が
こはためし(例)なきよはひ(齢)なりけむ